9-⑤ あなたのスーパーマインド王国
<あなたのスーパーマインド王国>(P224〜✔︎)
-それは現実に存在する
なんという奇妙な状況であろうか!スーパーマインドという貴重この上ない特権を所有する人間がここにいる、だが彼にはそれを自分の為に使用することができないとは。彼は幻想と妄想に曇らされた心をもっている、だがこの曇った心は、正しい努力によって、眩いばかりの誘導燈に変えられるのである。
彼がただ、ふと立ちどまって無数の星が耀く大宇宙へ驚歎(きょうたん)のまなこを向けさえすれば!彼自身の内なる広大な大宇宙に驚嘆しさえすれば!
彼がただ、彼の秘密の王国を発見しさえすれば!
そこでは一切万物が、美事な諧調(かいちょう)のうちに静かに息づいている。ただ見えないだけだ。しかしこのわれわれのこの秘められた王国というのは、果たして現実に存在するのであろうか?あなたは気がつかないかもしれない、しかし存在しているのだ。その消息について、四人の証言に耳を傾けよう。
この四人は時代も国も互いに遠く離れていた、だが同一の啓示に達したのだ。
レオ・トルストイ伯は、若い頃に自分が懐疑主義に陥っていたことをはっきり認めたうえで、その後、この王国の発見という大いなる啓示をこう伝えているー
わたしはその光を知らなかった、そして、人生には確実な真理はないと思っていた。しかし、そうした光だけがわれわれに生きる力を与えるのだとの認識に達したとき、わたしはその光の源をみつけようとした。そして遂にみつけた。ようやくその光源に辿りついたとき、わたしはそのすばらしさに目の眩む思いであった。わたしはそこに、わたし自身のみならず人はすべて何のために生きているのかという、人生の目的に関するわたしの多くの疑問に対する充分な解答をみいだしたのであった......
シャンカラ(インドの哲学者。七〇〇一七五〇頃)の東洋的叡智は、この内なる天国へは到達できると説く。いかにしてかーー
真理の実現は認識によってもたらされる、千万の行為を重ねてもいささかももたらされることはない。
老荘哲学の師、荘子は、この秘なる王国の住人は、何を為すべきかを知っていると説く- この道"を知るものは、物事のプロセスに現われる原理原則をよく心得ている。これらの原理原則に親しい彼は、あらゆる変転する状況において自らの行動をいかに統(す)べるかを理解している。
彼はこの理解に達しているから、物事が彼自身を傷つけることを許さない。
ラルフ・ウォルドー・エマソンは、次のことばでこの秘なる王国に来たり住めと優しく呼びかけている-
われらはこの壮大なるものに極めて近くまできている。もう一歩で、われらは安全となる。この一歩を踏みださない手があろうか?
どういった種類の人が真の偉大さへ飛翔(ひしょう)するのであろうか?それは、あらゆるものを顧みることなくこの跳躍を試みようという熾烈(しれつ)な意志をもった人である。この見たこともないなにか違ったあるものを初めて垣間見た人は、暗いトンネルのなかにいる人に似ている。すぐ前に、かすかな光があるのだ。あまりに微かだから、自分の眼のせいではないかとときどき疑う、だが彼はとにかく前へよろめきあるく。孤独と失望に襲われ、息切れがする。いったいこれでいいのか、進む値打があるのかと首をかしげる。だが彼は歩みをとめることができない。彼はとうとう俺は正しい方向へ向かいつつあるのだという、内なる囁きに励まされて進む。彼は自分の責任はただひとつ、その光へ眼を向けつづけることだと悟る。なぜなら、その光はけっして揺れないからだ。こうして彼は遂にこの光への道をみいだす。
誰でもこの通りにいけるのだ。秘なる王国をみつけようと充分に熱心であるならば、彼はけっしてこの探究に裏切られることはないのだ。
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