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5-⑤ 宇宙的アイディアの日常的な意味

<宇宙的アイディアの日常的な意味>

本書のあちこちで触れる教師やシステムはいずれもそれぞれに異なるアプローチを堅持しているが、どんな人も新しい生き方を学ぶ能力があるという一点では合意している。まことに、重要なポイントは学ぶプロセスである、たとえばフランス語会話を学ぶのと同じである。だが、新しい生き方を学ぶプロセスは尋常の修行ではないから、そこにはおのずから吸収すべき特別の教えがある。

まず、スーパーマインドへの径で遭遇する、もっとも破壊的な意外な敵のひとつについて調べてみよう。それは、秘教的なアイディアは敢えてわれわれから幸福を奪おうとしているというたいへんな膠見である。私自身、私の講演に集る人々のなかで、秘教的な事実をひとつ披露すると、その顔に満疑の色を走らせる人々に気づいたことが何度あるか知れない。

「あなたはわたしから何かを奪い去ろうとしているんですか?」と叫びだしそうな不安な眼色である。ところが、私の意図はまさにそうなのだ。私は、人生を破綻に追いやる誤ったアイディアを取り除こうとしているのである。

ときとするとあなたは、たしかにあるアイディアは真理だ、だがあなた自身に対してそれを有効に働かせるすべはない、と思うかもしれない。人の泳ぐのを見ながら、自分はどうしても泳ぐことはできないと諦めるようなものだ。だがこれは励のきざしではあっても落の因ではない。あなたの観察と実修とが続くならば、理論は行為へと移ってくる。あなたはエマソンとともに感知するようになるー問題は、われわれがわれわれ自身の新しい世界を創るのではなくて、既成の体制へはまりこむことではないのかと。

この、より大きななにものかをちらと覗き見るという機会が、あなたの世界をあなた自身の満足がいくまで造りなおす作業へと通じていく。

宇宙の諸原理についてのあなたの理解程度からすると、それらは経済や暮し向き、つきあう人々、ショッピング、家庭生活等々といった日常的な出来事とはあまりに無縁のものに見えるかもしれない。だが私は保証する、それらはあらゆるかたちでつながっているのだ。その結びつきは、いまは漠然としている。だが次第に明瞭となってきて、日常生活の助けとなる。次のやりとりは、私がある人が、その宇宙的アプローチを彼なりに組み立てるのを手助けした例であるし

Qわたくしは理解に努めていますが、スーパーマインドについてのアイディアの多くはわたしを避けて通る。それらが深い意味をもつことは感じます。だけどどうしても、どう扱ったらいいか分りません。

Aあなたが巨匠の描いた大きな油絵の前に立っていると想像してごらんなさい。その絵は、わずかな隅っこ以外はベールでわれています。この絵を理解するにはベールを取り払わなければなりません。いいですか、スーパーマインドのアイディアはどれも、あなたを助けてこの宇宙的絵画を隠しているベールを剥がしてくれます。一度に全部と思わず、一時にひとつの新しいアイディアだけを学ぶようになさい。そのうちに徐々に、人生のカンバスがいったい何を描とうとしているのかが分るようになります。

Qだけど、真の教師を発見してその人のことばに耳を傾けるということで充分じゃないんですか?

A あなたがあなた自身の内部に、すくなくともひと粒の洞察の種子をもっていないかぎり、真の教師に出会っても、真の教師と知ることができません。真珠がどのようなものかを全然知らずにどうして真珠を見て真珠と分りますか?あなた自身をある地点まで開発していって、そのときようやく、あなたの進歩を更にスピードアップしてくれる真の教師を確認できるのです。

Q スーパーマインドのアイディアについて他の人々と議論するというのはどうでしょう?

A私の長年の体験から引きだした私自身のルールがあります。スーパーマインドについて議論するには、誠実な関心をみせた人たちとだけすることです。あなたのアイディアを立証しようという気持ちではなく、たがいに探検しようという精神で議論することです。決して言い争ってはなりません。あなたを啓発してくれるあなた自身のスーパーマインドひとつに頼りなさい。

ポイントからはみでないようにすること。他の人たちとの議論で費された一分間に対して、自分自身との対話に一時間費してごらんなさい。