6-④ 敗北感情の確実な救治法
<敗北感情の確実な救治法>
一つの感情がいま通りかかっている
設化と失政の感情は、われわれが誰であり何を成就すべきかについての不自然な観念で生きるときにのみ存在する。これらの誤った考え方が、霊的な知性の光にあたって融けてしまうと、敗北と失敗感は永久に消える。
望と承認をもとめてあくせくと駆けずりまわる、これがひとつの誤った固定観念である。なにかよいととが転がりこんできたとき、俺のせいだ、俺がしたんだと自然れることをやめるようになると、その後いつなんどき不運や災難に見舞われても、エゴが傷つけられたことでは苦しまなくなる。
自惚れや自負心がなくなれば、阿責、自責などの自己非難も克服できる。賞場と非難とはすでにわれわれが第二章で検討してきた典型的な両極性である。言い換えれば、自由の境地は、失敗/成功、自己承認/自己非難という狭くるしい限定を超えでたところに存在している。次の問答を見よ-
Q わたくしは人々がわたくしに注目してほしい、わたくしが関係しているものに惹かれてほしいと思います。この成功観念のどこがおかしいのでしょうか?
A なぜ他の人々があなたに惹きつけられることを願うのですか?
Q いい気分になるからです。
Aいいかえれば、あなたの喜びの源は他の人々のあなたに対する態度にある。
Q ま、よろしいでしょう、先生がおっしゃるんですから。ですが、なぜそれがよくないんですか?
A あなたが他の人々の気まぐれで踊らされている、それが分らんのですか?彼らの行動、誤要があなたにある感情をもてと命令している。あなたはその奴隷状態に気がつかないんですか?
Q しかしほかになにがあります?ほかにどうすればわたくしがいい気分になれるというんです
か?もしれをやめたら、隔離と孤独のなかでわたしは立っていられないでしょうよ。
Aあなたの原初の自分自身に還れば、隔絶も孤独もなくなるはずです。
Q それはありがたいです。でもどうすれば原初の自分自身に還れるんですか?
Aわたしたちは、それを検討しようという訳です。ま、ついていらっしゃい。
孤立感と絶望的な位しさについては確実な救治法がある。こういうムードから解放されれば、心身症というかたちで現われる憂欝ムードの落し子からも、あなたは自由となろう。
基本的な考え方は、抑替感情を自分だとは思わないこと、それを根本的な自己の一部分だとは取らないことである。そうではなくて、気象学者が黒い雲を調べるように、わきに立って客観的に精査することである。黒雲を調べたら気象学者が憂欝になったというはなしは聞いたことがない。霊的な科学者を志すあなたは、抑感情を観察して抑替にとらわれてはならない。
その感情がどんなふうにして起こるかを観察しなさい。その感情は、しばらくは重くのしかかる。
が、最後には消えていく。あなたはそれへ反応しないよう、反応を一時宙に浮かして置く。「おれは憂欝症になっている」などと考えてこれにとらわれるのではなく、「ひとつの感情がいま通りかかっている」というふうに客体化することである。
このテクニックを修練すると、あなた自身をある程度まで絶望感から引き離すことができる。絶望感を弱めたのだ。絶望感は前のような微しさではけっして二度とのしかかっては来なくなる。これを絶えず実習するとおどろくべき成果があらわれる。この同じテクニックを、パニック感情とか倦怠感とかという他のネガティブな感情の解消に使うこともできるようになる。
神秘家たちは何十世紀もこのアイディアを実践してきた。古代では、たとえばプラトンの後継者であるアテネのアルケシラオス (皿三)はこう言っている。
「融感は静彼を伴ってくる」
訳注。吊懸(Suspension)とは是非の判断、感情的反応をいっとき中止し、いわば宙吊り状態にしておくと
と
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