2-⑩ 真の自己を明るくしなさい
<真の自己を明るくしなさい>
-内なる権威にたよれ
われわれは自己実現という人生の目標を逸してはならない。もしわれわれが正しい選択をすればおのずと成長はやってくる。もしわれわれが、自己欺瞞のかわりに自己認識を選ぶならば、成長がやってくる。もしもわれわれが苦しみに抵抗するのではなく苦しみを静かに調べるならば、われわれは苦しみから遠ざかる。もしもわれわれが外部の人々の声に借りかかるのではなく自分の内なる権威にたよるならば、われわれは自己を明るくすることになる。
ところが条件づけられた心は、そうしたととはすべてあまりにでき過ぎており、とても真実とは思えないという。
条件づけられた心は、もしそんな奇貴みたいなことがこの場でいま成就できたらどんなによいかとは思う。だが結局、他愛もない理想ではないかと懸念する。
だが条件づけられた心のこんな受け取り方は間違っている。私はあなたに保証する。これらの驚異的な事実はすべて真実なのであり、実現が可能なのだと。
あなたはそこで問うであろう、「だけど、スーパーマインドという高い次元から思考するようになるにはどうすればよいのか」と。
宇宙的意識をめざしての真摯な努力はすべて自己実現のために有効に作用する。だがここでは特に、次のような特殊テクニックを試みてみるとよい。
自分がしゃべったり、行なったりするのに何が必要であると考えているかを観察するのである。このテクニックを忠実に実行してみる。そうすると、あなたのことを隅から隅まで知っている身近な親友が書いたあなたの伝記を読むかのように、ああこれがわたしであったのかと、自分自身のことがよく分ってくる。
自己洞察がどんなふうに働くかの例を考えてみよう。ここまでの数ページであなたは、自分に何が起とるかなどにいささかも心をわすことはいらない、と知った。これは事実なのではあるが、あなたとしてはややこんぐらかった反応を与えられただろう。あなたの中のある部分は、この原理の真実性にスリルをおぼえる。だが他の部分は、あなた自身にとってどんなふうにしてそれが本当だといえるのかしらと、戸惑いを感ずるであろう。これはあなたの抵抗である。そしてこの抵抗に気づくことが大切なのである。
こうして自分の心の動きに気づくことはりっぱにそれみずからの作用を果たしていく。即ち、そのときあなたは真実とともに投げだされる。あなたには真実以外にはなにものも残らない。こうして、自分自身のあらゆる反応に気づいているということは、あなたが遂に自由となったということなのである。
なにかを行なうときの想定された"動機ではなく、ほんとうの動機を発見するよう努力すれば、必ずや急速な進歩が保証される。最初のうちは、真実の動機が想定されたそれとはずいぶんかけ離れていることを発見しよう。だがあなたの自己統一ができてくるとともに、想定された動機と真実の動機は一となり、同一のものとなっていく。
正直ということが唯一の方法である。クリシュナムルティが指摘するごとく、正直は真実を真実として、誤りを誤りとして示してくれる。もしわれわれが、われわれが肩じたいと願うなにものかを掴んで心の慰めとしたいという目的だけで霊的な極致を求めるとすれば、我々は探究しているのではなくて彷徨しているのである。
真摯な求道者のモットーは充分に明白である、「いかなる代価を支払っても真実を」ということだ。
代価とは何か?われわれは、演劇舞台に属する一切を乗てて、特に、われわれはすでに真実を知っているのだといううんざりするような仮装行為のすべてを乗てて、真実を贈かなければならない。
笑うより泣くのがむしろ正直な心である。だがもしあなたが意識をもって泣くならば、遂には笑うのだ、正直に笑うのだ。
真のマジックと質物のマジックとがある。質物のマジックとは、人が何かが欲しいときに、それを手に入れようとしてなにか迷層的な心理テクニックをもちいて、それを獲ちとることである。そして誇らしげに、そのカラクリによって獲ちとったとじるのである。人々は、彼らが欲しいものが祈りによって出現したと、興奮しながらあなたに語る。だが祈りによって出現しなかったことが何十回とあるのに、そのことは伏せている。
真のマジックとは何か?それはスーパーマインドとの調和に生きることである。
人の内的状態は、敵味方両軍がたえず交戦を繰りかえしている戦場に似ている。一方は霊的な勝利を求め、他方はこれに猛烈な抗戦をつづけている。人はこの心のなかの内戦に悩み苦しむ。ちょうど外部世界での永劫の戦いが多くの犠牲者を生みだすのと同じようにだ。一進一退、戦闘は猛りくるう。人は小競りあいでったとき嬉しげに叫ぶ、そして一時間後には敗けて悲しみのうちに打ちひしがれる。
これが人間というものの不可避の、必要止むを得ない宿命であろうか?人生とはこんなものでしかないのであろうか?もうひとつ、なにかがあるのではないか。戦いの上げ潮退き潮を、彼の真のしあわせになるように転向させる第三の力があるのだ。
われわれは次章でとの強力な同盟軍に出会い、それが何をわれわれにしてくれるかを学ぼうとしている。
No Comments