Skip to main content

57. 知性 Intelligence

たとえ暗くても、ないところではなく、あるところを捜すようにあなたの知性を使いなさい。内側を見ましょう。

 ある夕方、人びとは、ラビヤが自分の小屋の前の通りでなにかを探しているのを目にした。
彼らは集まり合った——かわいそうな老婆……。彼らはたずねた。「どうしたのです? なにを捜しているのですか?」

 すると彼女は言った。「私は針をなくしたのよ」。そこで彼らは手伝い始めた。

 そのうちに誰かが思いついてたずねた。「ラビヤ、通りは広いし、夜になろうとしています。
すぐに光がなくなるでしょう。それに針はとても小さい物です——どこに落ちたのか、正確に言ってもらえませんか?」

 ラビヤは言った。「針は私の家のなかで落ちたのです」

 彼らは言った。「気でも狂ったのか? 家のなかで針が落ちたのなら、なぜここを探しているんだ?」

 すると彼女は言った。「ここには光があるからよ。家のなかには光がないわ」

 そこで誰かがたずねた。「ここには光があっても、針がここでなくなったのでなければ、どうしてそれを見つけることができるのです? 正しいやり方は、光を家のなかに持ってゆくことでしょう。そうすれば、そこで針を見つけることができるではありませんか!」

 すると、ラビヤは笑った。
 「あなたたちは小さなことにはほんとうに賢い人たちなのね」と彼女は言った。「あなたたちは、いつになったら自分の知性を、自分の内なる生に使うつもりなの? 私はあなたたちみんなが外を探しているのを見てきました。それに、私はよく承知しているのですよ、私はいまでは私自身の体験から知っているのです。あなた方が探しているものは内側でなくなったのです。自分の知性を使いなさい! なぜあなた方は至福を外の世界に探しているのですか? あなた方はそれをそこでなくしたのですか?」

 彼らは口もきけずに立ちつくした。そしてラビヤは自分の家のなかに消えた。
SUFIS : THE PEOPLE OF THE PATH, Vol.1, pp.283-285