4-⑦ あなたの宇宙的進歩のテスト
くいかにして人生の悪夢を終らせるか>
-人生は夢である
次の問答が、あなたがいま直面している問題を理解し解消するのに役立つのではなかろうかー
Q 苦痛の解消へ理性的にはたらきかけるには、まずその特定の苦しみだけを取りだして吟味しなければならない、とおっしゃいました。ところが、わたしは自分が渇望しているものが得られず、がっかりしています。どうすればよいのでしょうか?
Aまず渇望というものがどうして起こるのかを見てみましょう。あなたは外部の物、たとえば新車とかホームとか異性とかを眼にする。それらが、それを所有したいという湯望を生みだす。
それが得られないと苦痛が襲ってきます。それとともに、これらの物や人を手にいれたらどんなになるであろうかと想像を運しくします。しかしそれらはあなたのものではない。だから、幻想と事実のあいだであなたは苦しむのです。これに気づいていますか?
Qはい。問題は渇望すること自体にあるので、その外部的なものが得られる得られないということからではない、とおっしゃるんですね。なるほど…・・ではお訊ねしますが、渡しい願望を消すにはどうすればいいんでしょうか?
A激しい願望は誤った自己感覚から湧いてくるのだと知ってほしい。想像された自己というものは、喚きたてる欲望のかたまりなのです。渇望はすべて、との誤った自己が自分であると認めたい、そしてあなたにこの空なる自己が実在していると思わせたいという、空虚な企てなのです。誤った為りの自己なるものは存在しません。それはたんなる幻影であって、あなたはそれを見破らなくてはならない。この地上のどんな事物も、どんな他人も誤った自己など確証できるはずがない、もともとそういうものは無いのだから。われわれが、それはあると思うかぎり、夢中になってそれを追い求める。ですがこの幻影は、求めれば求めるほど、遠ざかっていき、骨董化し、ついにはなくなってしまいます。
Qなぜ鳴りの自己を観察することが必要だと強調なさるのか区識に思っていましたが、いまようやくそれと渇望との怖るべき関係が分りました。
A渇望は、生命力を盗部好智にたけた泥棒です。それは、あなたが存在するためには渇望が必要なのだと思いこませ、一方あなたの純正かつ真実の存在をたえず盗みつづけるのです。
Q しかしもし人が彼の渇望しているものを手に入れたらどうなるんでしょう。彼は幸福になるんじゃないでしょうか?
Aさあどうでしょうか。彼が新しいホームを手にいれた、もしくは新しい配偶者を見つけたとしますか。彼の渇望はその新しさ珍しさ、そして興奮のなかに一時中断されているにすぎないのです。ちょうど刺激的なテレピショーを見ている間はいっとき頭痛を忘れるようなもので、やがてすぐに、珍しさは薄らぎます。またもや古い渇望は彼を襲い、彼を駆りたて、その欲望充足に、たぶんまた別の新しい物を狂気のように追い求めさせます。結局、彼は哀れな悪循環のなかに捉えられ、幸福は到底不可能となります。どうか、私が人生からあらゆる悦楽や面白さを奪ってしまおうとしているなどと取らないで下さい。ところであなたはいま人生が愉しいですか?私はあなたに、恒久的な満足を保証する新しい道があると告げようと努めているのです。
微しい欲望という危険な問題は次のように要約される。
虚溝の自己によって生きるととで、われわれはその虚構の欲望が仕掛けた罠にとらえられている。
こうした渇望を満たしてやることは、頭に描いた馬の飢餓を満たしてやろうとするようなものである。だが、われわれがとの為りの自己を潰してしまえば、その喚きたてる食欲は消える。ちょうど目が覚めれば、悪夢の恐しさが消えるようなものである。
ヘンリー・デーヴィッド・ソローがこう確言しているー
なにか恐ろしいぞっとする夢の中で、いちばん深刻な恐怖場面の一瞬に達するとき、われわれは目が覚める。こうして夜が生んだいやらしい化物はことごとく追放される。
ところで人生は夢である。大恐怖の戦慄が一瞬われわれを刺識して夢を破らせたときも、まったく同じようなことが起こる。