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7. 強欲を超える Beyond Greed

なにが与えられていようとも、それは絶対に正しいのだという信頼に向けて、自分の覚醒の向きをポジティヴな方向に変えましょう。そしてこの信頼のなかから、自分自身が感謝に満ちて踊るのを許すことです。

 インドの偉大な神秘家、ナラダは、神に会いに行こうとしていた。ヴィーナを奏でながら森を過ぎてゆくと、彼は樹の下に坐っている非常に年老いた聖者に出会った。

 年老いた聖者は言った。「私からの質問をひとつ、神にたずねてみてください。私は三生にわたってあらゆる努力をしてきています。そこで、あとどのくらいの努力が必要なのか、私の解放はいつ起こるのでしょうか? と」
 ナラダは笑って言った。「オーケー」
 さらに歩いてゆくと、彼は、別の樹の下でエクターラをもって踊り、歌っている若者を見つけた。ナラダは彼に冗談のつもりでたずねた。「君も神になにかたずねて欲しくはないかい?」
 若者は答えなかった。彼はなにも聞かなかったかのように踊りつづけた。

 二、三日してナラダは帰ってきた。彼は老人に伝えた。「神に聞いてきた。彼はさらに三生だと言っていたよ」
 老人は怒り狂った。自分の数珠を、自分の聖典に投げつけた。彼は言った。「それではまるで不公平ではないか! さらに三生とは!」

 ナラダは若者のところに行った。彼はまたしても踊っていた。彼は言った。「君はたずねなかったけれど、ついでに君のことを神にたずねてきた。でもいまとなっては君に伝えたものかどうか……。あの老人の怒りを見て、私は言い出しかねている」

 若者はなにも言わなかった。彼は踊りつづけていた。ナラダは彼に伝えた。「私がたずねたら、神はこう言った。『その若者に伝えなさい。お前は、その下で踊っている樹についている葉の数と同じだけ生まれてこなければならない! と』 」

 すると、若者はさらにもましてエクスタティックに踊り始めた。若者は言った。「そんなに早いのか? 世界にはとても多くの樹があるし、たくさんの葉がある……たったそれだけ? 今度神のところに行ったら、彼にありがとうと伝えてください!」

 そしてその若者は、まさにその瞬間に解放されたと言われている。もし信頼がそれほどまでにトータルだったら時間は必要ない。もし信頼がなかったら三生ですら充分ではない。そしてこれは私の感触だが、その老人はいまでもどこかそのあたりにいるにちがいない。そのようなマインドは解放されえない。そのようなマインドこそ地獄だ。
THE PERFECT MASTER, Vol.2, pp.287-289